お店ができたばかりのころは「着物に詳しくない人が値段をつけてるのかな?」
という掘り出し物もチラホラあったのですが、
最近はウールの半幅帯(使用感アリ)が千円を超えてたりする…
面白い柄ならまだしも、昔ながらの絣風ウール着物も妙に高い…
びっくりです。
着物ブームなんですねえ。
結局ピンとくる大物もなく、
面白い柄の襦袢と新品の八掛生地があったので、
替え袖用と練習用にしよう、と手にして店内をふら〜っとしていたら…
「あら!こんにちは!!」
う、知り合いの奥さん…(年に1、2回会う程度)
「どうしたの?なに買ったの?やだ、こんなもの買ってどうするの?!」
放っておいてくださいよぉ…
そして大声出さないで…お店静かなのに…
「なにアナタ、これどうするのよ」
ううう…答えないと離してもらえないのね…
「手芸に使おうと思って…」
「ああ〜これ(襦袢)は錦紗ね」
やめて…人が持っている品物をベタベタ触らないで…
「アナタわかってないわねえ!ほら、ここにある着物を順番に触ってごらんなさい!
いい生地っていうのはこういう生地をいうの!!これはダメね!!
アナタがいいって思う着物選んでみなさいよ、私が判定してあげるから!」
だから声大きいですってば!!
判定していただきたくもないですし!
店員さんが近くにいるのに、置いてある商品にダメ出しするってどういう神経してるの?
怖い…怖すぎる…
誰か助けて…
「それにしてもアナタ、そんな色の悪い八掛買ってどうするのよ」
だから…店員さんいるし…(泣)
私が練習用じゃなくて純粋に『この色好き!』って思っていたら、
とんでもなく失礼な発言をしてるって気づかないのかな?
私の親より年上なのに…
なんだろうこの寒気がするほどの空気の読めなさは…
私が引きまくっているのに全く気づかない奥さんは、
執拗に私に絡んできます…
「やめなさいよ、そんな八掛。こっちの着物(八掛と同額)を解いて使えばお得じゃない」
…古い八掛に合わせて衿下の長さを決めるのはちょっとどうかと…
というか、放っておいて欲しいです…奥さん…
「私、和裁を教えてもらているので、こっち(新品)の方が…」
「えッ!?アナタ和裁教わってるの?誰に?どこの人?いくらで?!」
やぶへび…?
「……」←もう余計なことは口にしないでおこう…
「私も和裁習いたいのよ〜あなたいつ行くの?一緒にご挨拶したいわ」
「…定期的にしていないんで…(事実)」
「お茶を習ってるから、着物縫いたいのよー。ちょっと先生に聞いてもらえる!!?」
奥さんと一緒にお稽古するの、どう好意的に考えようとしても嫌だわ…
そして「奥さんを紹介した私」に対する先生の評価がどうなるか、
ちょっぴり考えただけでも恐ろしいわ…
曖昧な薄ら笑いを浮かべて、奥さんから少しずつ距離をとった私は、
試着室に逃げ込みました。
奥さんも自分のお買い物の専念されている様子でしたしね。
助かった、と胸をなでおろし、
襦袢の状態を広げてチェックしていたら…
「しなこさーん!!しなこさんいないのー?」
奥さんが大声で私を呼んでいる…
静かな店内に響く奥さんの声…
「しなこさん?しなこさーん!!」
ち、近づいてくる…
たすけて誰か…
恥ずかしい…しかしそれ以上に…
怖い!!
「しなこさんいないの?しなこさーん?どこいったのかしら」
こ、声を出しちゃダメ…!
息をひそめて嵐が過ぎ去るのを祈る私。
「……」
勝った…
どうにか逃げ切れた…
私は「ホラー映画で真っ先に殺される役」ではなかったようです。
しかし試着室に踏み込まれていたら、
冗談抜きでスクリーミング・ホラー状態でしたよ。
ちなみに、奥さんの旦那さんはとてもいい方です。


